児童の発達の傾向を見るために行われるWISC-Ⅳ(ウィスクフォー)という知能検査。
我が家の長女も、機会があって受けさせていただきました。その結果から、分かったことをお話させていただきたいと思います。
これからお子さんが受ける予定、もしくは受けようかなーと考えてる方に、ちょっとでも参考になったら嬉しいです。
WISC-Ⅳ(ウィスクフォー)をうちの長女が受けた結果
WISC-Ⅳは児童の発達の傾向を見るための検査です。
生活や学習の中で、どんなことでつまずきやすいか、どんなことに気を付けたら良いのかが分かります。
うちの長女は、とにかく忘れ物が多くて、学校でも毎日何かしら忘れ物をしています。
先生に持たせてもらってる連絡ファイルに、毎月必ず
今月の目当て:忘れ物を先月より減らす!!
と、書いてくるにもかかわらずその目標を達成したことはありません。
また、とにかく人の話を聞いてないと感じます。
ご飯出来たから次女と長男呼んできてー!
はいはーい!!
と返事をして、2階に上がる長女。
その間におかずやご飯を人数分よそう私。
準備完了。
数分経過。
…誰ひとり来ない!!
ご飯だって言ってるでしょうがあぁぁ!!
呼びに行ったらみんなで遊んでたり、「え?ご飯できたの?」って言ったり。
毎日こんな感じ。
なんで毎日毎日同じこと言わなきゃいけないの?どうしたらいいの?
WISC-Ⅳを受けたことによって、そうした疑問が、雲が晴れたようにスッキリしました。
もちろん、長女が劇的に変わった。なんてことはありません。
けれど、なぜ長女が忘れ物が多くて人の話を聞けないのか、そしてどう接したらいいのかの道筋をWISC-Ⅳの検査結果により知ることが出来ました。
それでずいぶん心が軽くなったと思います。
検査結果を報告書で受けとりました!
小5の長女。臨床心理士である、スクールカウンセラーの先生に検査をしていただきました。
先生はだいたい、2ヶ月に一回くらいのペースで来校されます。5月にテストをしていただいて、得点結果を教えてもらったのが7月。夏休み明けの9月に、2枚の報告書にまとめて手渡してくださったんです。
長女にも分かりやすい文章で、検査から読み取れる長女の得意なことと苦手なこと、生活面で気をつけることが書いてありました。
こんな感じ。
合成得点がこちら。
それぞれの得点の意味はあとからお話したいと思います。
WISC-Ⅳを受けたきっかけ
忘れ物が多く、学校でも毎日、何かしら持ち物忘れがあった彼女。絵や工作が得意で、そういったことへの集中力はすごいけれど、自分の興味の向かないことはまったく頭に入らない様子でした。
移動教室の時など、クラスメイトから行動が遅れることもしばしば。
廊下を歩いてても、体が興味の矛先の方へ向かっていくらしく「あっちへフラフラ~、こっちへフラフラ~っとしてるんですよね(笑)」と担任の先生に言われることもありました。
スーパーマイペース娘なんだよね!
何かの発達障害に当てはまるんじゃないか?という思いは幼少の頃からずーっとあったものの、少人数の学級で、先生の目も行き届く上にクラスメイトがよくフォローをしてくれていたようで、大きなトラブルはありませんでした。
なーんも困ったことなんてないよ~。それなりにやってるよ~。
長女が「特に困りごとがない」って言えるのが逆にすごいと今になって思う。
「うちの子、何らかの支援が必要なんじゃないでしょうか…?大丈夫でしょうか…?」と担任の先生に相談をしたのが小4の学年末。
すると「定期的に来校されるスクールカウンセラーの先生がWISC-Ⅳというテストを実施されます。受けてみたらどうでしょうか?」というオススメがありました。
ウィ…ウィ…何??
WISC-Ⅳ(ウィスクフォー)っていったい何?
WISC-Ⅳ(ウィスクフォー)とは、児童の発達の傾向を見るための知能検査。とお話しました。もうちょっと深く説明してみます。
ウェクスラー式知能検査のひとつで、対象年齢は5歳0ヶ月~16歳11ヶ月まで。それ以外の年齢の子には別の検査があります。
検査の結果は、総合的な知能(IQと呼ばれる。)の他に、4つの指標が合成得点として表されます。IQ○○の天才!なんて言葉を耳にしたことがあるのではないでしょうか。
WISC-Ⅳの5つの指標
- 全検査IQ(FSIQ)
- 言語理解指標(VCI)=VirtualComprehension Index
- 知覚推理指標(PRI)=Perceptual Reasoning Index)
- ワーキングメモリー指標(WMI)=Working Memory Index
- 処理速度指標(PSI)=Processing Speed Index
えー…げ、げんごりかいとちかく…、どういう意味??
漢字とアルファベットの羅列でパッと見、ピンとこないかと思われるので(私はそうでした)次の章でまた詳しくお話させていただきますね。
得点は、100を平均とした数値で表されます。概ね、80を超えていたら平均内として発達上問題はないとされているようです。
でも、この数値は本人の体調に左右されることもあります。ちょっと調子が悪いなーって時は数値が伸びないということです。普通のテストだってそうですよね。
また、WISC-Ⅳは対象年齢が5歳からとなってはいますが、やはり幼い子では数値が低くなりがちです。
WISC-Ⅳの5つの指標の意味
- 言語理解指標(VCI)
(言語概念の形成、言語による推理力・思考力、言語による習得知識)
※どうすれば、難しくなった課題でわからなくなったときに先生にきちんと聞くことができるか。
ことばをどれくらい知っているか。そして使いこなせているかどうかということだね。
- 知覚推理指標(PRI)
(非言語による推理力・思考力、空間認知、視覚-運動協応)
※課題に関心・意欲を持ちながら、最後まで集中しながら達成ができるか
見たことなど、ことばを使わないで考える力ってことだよね。ダンスを覚えたりする力、このスペースにどれくらいものが入るかとかの空間認知力もここに入るんだね。
- ワーキングメモリー指標(WM)
(聞いた情報を一時的に留め扱う、注意・集中)
※どうすれば、素早く、優先順位をつけながら、課題ができるか。予測しながらの問題解決能力
まず最初に、数桁の数字を覚えてから、新しい情報を入れていって、どこまで最初の数字を覚えておけるかみたいなテストをしたらしい。長女はここが弱かった…。記憶を入れておくポケットが小さかったり、穴が開いてたりするから覚えておけないんだよね。
- 処理速度指標(PSI)
(視覚情報を素早く正確に識別したり処理する)
※どうすれば、今やっていることを素早く終わらせて、自分の時間を作ることができるか。器用さ。
単純作業を処理する能力。脳と手のつながりがうまくいってるかどうかだよね。長女はこういうの得意。手先の仕事はほんとすごいと思う!
WISC-Ⅳの5つの指標の下位検査
全検査IQを除いた4つの指標を、さらに細かく分類した、下位検査の得点も出されます。
学校で勉強する国語も、「漢字を読み書きする力」「本を読む力」「物語の登場人物の気持ちを読み取る力」って評価の項目が分けてあったりしますよね。通知表とか見ると。算数だったら「計算」「図形」「式を立てる力」みたいな感じでしょうか。
そんな感じで、WISC-Ⅳも4つの指標それぞれに下位検査っていうのがあります。
- 言語理解指標→「類似」、「単語」、「理解」、*「知識」、*「語の推理」
- 知覚推理指標→「積木模様」、「絵の概念」、「行列推理」、*「絵の完成」
- ワーキングメモリー指標→「数唱」、「語音整列」、*「算数」
- 処理速度指標→「符号」、「記号探し」、*「絵の抹消」
下位検査まで見ていくと、ひとつの指標の中でもさらに得意不得意なことが何なのか見えてきます。
得点結果は持ち帰れない決まりになっているようでした。
スクールカウンセラーさんの面談の時に見せてはもらったんですが、メモ取ってなかったので分かりません。
生活の中で気を付けることとか、大事なとこだけ頭に残しておこうと思って聞いていました。「検査結果は学校に保管して、いつでも見られるようにはしておきます」とおっしゃっていました。
WISC-Ⅳ(ウィスクフォー)の検査結果から分かったこと
スクールカウンセラーの先生が渡してくださった報告書から抜粋をさせていただきます。
WISC-Ⅳの結果、長女は全体的な数値は平均の範囲内でした。
でも、各指標間では凸凹があり。いちばんの凸と凹の差が42だから、結構なものだと思います。
グラフで見ると、こんなに凸凹してるんだって分かるよね。
- 知覚推理と処理速度が高い
- 言語理解は平均
- ワーキングメモリーが低い
このことから、長女の特徴として以下のことが考えられます。
得意なこと!
- 目で見た情報を(視覚情報・非言語)をもとに推理したり、新しい情報に基づいて課題を処理したりすること。
- 単純な視覚情報を素早く正確に順序よく処理したり、識別したり、書くこと。
- 言葉が意味する内容や性質を考えること。言語を使って推論すること。言語による知識の習得。
- 聞いた情報を一時的にとどめ、その情報を操作すること。
日常生活において困っているであろう具体的な場面としては、授業などでは先生の話についてこられなくなる、不意に当てられても言葉が出てこない、友達や家族の会話の流れに乗れない、することの優先順位がつけられない、などがあげられます。
そうそう!ほんとそんな感じ~!今それ言う?それやる?ってことが多いんだよね。だから「空気読めない」って思う。
これらのことから、長女本人が生活や学習の中で工夫できる点として、以下のことが考えられます。
- メモ帳をいつも持って、聞いたことを忘れないようメモを取る。もしくは書いてもらう。
- 予定や計画は、紙に書いたりして、いつでも見られるようにする。
- 情報や考えを整理するときは、マインドマップなどを使って、見える化する。
また、周りの人が工夫する点として、以下のことが考えられます。
- 指示や説明は言葉だけでなく、書いたり図や絵を添えたり、実演して見せるなど視覚情報を交えて行う。
- 話す前に名前を呼ぶなどして声をかけて、話す人の方を向いたことを確認して話す。説明は短く簡潔に、繰り返す。話した内容も確認する。
- 順序立てることや、優先順位をつけることが苦手なので、一緒に整理する。
納得ー。WISC-Ⅳを受けると、こんなことがわかるんだ。
そんな長女にオススメされたのが、模擬時計とおしたくボード。
入園入学前の準備にもいいですよ。もちろん、発達に問題がある子じゃなくてもオススメ。楽しく分かりやすく、お支度が身に付きます。
WISC-Ⅳを受けて良かったこと
学校のテストや通知表はもちろん、普段接している私たちの目や先生の話では見えなかった、長女の得意・不得意を知ることが出来ました。
また、それに気づけたことで、困ってることが楽になるためにどう接したらいいのかのヒントを得ることが出来ました。
イライラが減った気がする!
♪
長女だって、ガミガミ頭ごなしに怒られるのはやっぱり嫌だったと思います。
ほんと不毛な時間でした。もっと早く相談してれば良かったなぁと思います。
WISC-Ⅳ(ウィスクフォー)を受ける時の長女の様子
検査は授業時間を利用して受けさせてもらいました。
教室ではなく、別室でカウンセラーの先生と一対一。私の付き添いはなしです。長女にとっては、親の目がない方がリラックスして普段通りの気持ちで受けられたんじゃないかと思います。
当時の様子をこちらの記事でも詳しくお話しています。
マスク姿で検査を受けてました。最初から最後まで、ペースを変えずに答えていました。簡単な問題では、片手でほいほいっと積み木を並べて。ちょっと考える場面では、身を乗り出して真剣に考える様子が見られました。
あぁー…。ふてぶてしい長女の顔が目に浮かぶ。検査も、私に言われてしぶしぶ受けたって感じだったもんなぁ…。
そうですね。言われたから来たよって感じですね(笑)
でも、ウィスクフォーを受けたことによって私としては良い気付きがたくさんあって良かったと思います。ありがとう、長女。
WISC-Ⅳ(ウィスクフォー)で発達障害の診断は出来ない!
WISC-Ⅳは、生活や学習面で得意なところと不得意なところを知るための検査です。
また、能力の凸凹に気づくことができ「こういうところに困ってるのか」ということを知れて、対策が取れる。
そのためのものです。発達障害かどうかの診断に参考にされることはあっても、WISC-Ⅳまたはその他のウェクスラー式検査結果で発達障害の診断は出来ません。
でも、私は長女に受けてもらって良かったなぁとすごく思いました。
だから長女は忘れ物が多いし、先生や私たち親の話をいっつも聞き飛ばしてるんだー!
と、原因が分かって納得したというか、腑に落ちてすごくスッキリした気持ちになりましたし、どうやって接したらいいのかのヒントを得ることが出来ました。
もちろん、このWISC-Ⅳで知れた対策を取ったからといって、万事うまく行くわけではありません。
先生からいただいたアドバイスに「大切なことはメモを取る」とありましたが、そのメモ自体をなくしてしまうことなんて日常茶飯事です。
おねだりされて、キャラクターの絵がいっぱいの可愛いスケジュール帳を買っています。
予定や、やることリストなどをすごくカラフルに、絵もたくさん描きこんで見やすくなっているんですが、使ったあとその場にポーン。と放って次のことを始めてしまいます。そのため、いつも行方不明。忘れた頃に「あー、こんなところにあった!」と発見されます。
それでも、長女に対して
なんでできないの!!
さっき言ったでしょ!何回同じこと言わせるの!
と怒ることが減った、それだけでも大きな収穫だと思います。
不毛なイライラをなくすために、こちらの記事も参考になるかもしれません。
長女に「あれもこれもできない」を植え付けるんじゃなくて「こうしたらいいんだよ」をもっと早く伝えてあげられてたら良かったなぁと思います。
学校の先生や、検査をしてくださったスクールカウンセラーの先生も「ほんとはみんなに受けて欲しいんですけどね~」と笑っていました。
そうですよね。まるで自分の取り扱い説明書のようです。私も受けてみたいと思います。
そしたら「こういう時は、こうすればいいんだ。」「こういったことに気をつければいいんだ。」生活の中でのつまずきが少なくなって楽になるんじゃないかなって期待をしてしまいますよね。
でも、皆が受けたら検査をする先生は大変でしょうし(笑)、そもそも、先生に相談するほどの困りごとがないと、この検査を知ることはめったにないでしょう。
長女がきっかけで知ることができました。子どものおかげで、日々勉強させてもらえてるし、子育ての幸せを実感させてもらってると思います。
まとめ
我が家の長女は、学校生活や家庭で心配なことがちょこちょこあり、先生に相談をしたところWISC-Ⅳを受けることを勧められました。
- 5つの指標の合成得点により、子どもの得意なこと・不得意なことが見えてくる。
- 能力のばらつきにも気づくことが出来る。
- 対策をまとめた報告書により、子育てのヒントが得られる
WISC-Ⅳをはじめとしたウェクスラー式知能検査は、子どもの発達の傾向を見る検査ですが、その結果により発達障害の診断がされることはありません。
また、当たり前ですが検査の結果がお子さんの全てではありませんよね。
私は長女に受けてもらって良かったなぁと思いますが、検査結果によって一喜一憂したり、納得いかないな~、と感じたりする人も居るようです。あくまで参考に、受け止めて欲しいなと思います。
子どもが宿題をしない・時間がかかる・勉強に集中できないと悩む人は、こちらも参考にしてみてくださいね。
うちの長女と次女も受講しています。
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