中学2年の5月から完全不登校になったうちの長女。
それでも色んな経過を経て皆と一緒に卒業式に出席しました。
前記事からの続きです
中学校の駐車場で
式当日、一般的な登校後の流れは
- 生徒と保護者が登校
- 校舎正門付近で受付
- 生徒は教室へ
- 保護者は式会場の体育館、もしくは待合室などで開式まで待機
こんな感じだったと思うんですが
うちは担任から
「学校に着いたら連絡を下さい。駐車場からすぐに相談室へ裏口から入れます。もし教室や会場に入ることが難しかったら相談室に居て構いません。」
と連絡をもらっていました。
学校に行けなかった子が、卒業式に参加しクラスメイトが揃っている教室には入り辛いはずです。
皆がそれぞれ卒業の寂しさや嬉しさを噛みしめる中、場違いだと感じてしまうでしょう。
きちんと配慮してもらって、安心しました。
家から学校まで、どんな会話をしたのか全く覚えていません。長女と何も話さなかったかもしれません。でも、意外と穏やかな空気だったのは覚えています。お互いにそうしようと努めていたんだと思います。
中学校の駐車場に着くと、ちょうどひとりで相談室に入っていく生徒が見えました。
長女と同じように学校に行きづらさを抱えていた同級生が、私の知っているだけであと2、3人居ました。そのうちのひとりです。
学校に電話をして「着きました」と連絡を入れました。だけど、長女はしばらく車の中で待っていました。卒業生の保護者が数人、近くで談笑しながら歩いていたからです。
周りに人がいなくなって静かになった頃、長女が黙って立ち上がり車のドアを開けました。
後から知ったことですが、長女はこの時SNSで「今から中学校卒業してくる」と発信していました。投稿を見せてもらった時「いってらっしゃい」など温かく送り出してくれる返信が数件ありました。卒業式の出席は、長女なりのけじめだったのかもしれないと思います。
相談室には養護教諭が居て、すぐに担任に連絡をしてくれました。先に相談室にいた子と、和やかに挨拶をして話をしていた長女。私はもうこの時点で泣きそうでした。担任が来て「教室行けそう?」と問いかけると、ふたりとも穏やかな顔で頷いていました。
先に相談室にいた子の保護者は、式には出席しないようでした。
そうか、親に見られていたら緊張するかもしれないし
親もほかの保護者と一緒に居るの辛いかもしれないし
それぞれ、色んな思いや事情があるよね
卒業式に来た。車の中でしばらく待っていたけど、長女が自分から動き出した。同じように不登校だった級友と一緒に相談室へ。彼女のお母さんは来ていないらしい。私も来ない方が良かったかな。でも長女の卒業を見届けたい。今から受付に行く。せめてボロ泣きしないようにしよう
— あーさん@保育士になりたい6児シンママ (@ArigatoMama2018) March 9, 2023
卒業式は行かなくてもいい
だけど、この子は卒業式に出席することを選んだ。それもすごいと思いました。
小中学校は、それこそ長女のように全く出席しなくても時期がくれば卒業できます。卒業式に出なくてもです。
「卒業」をどんな形で迎えるかはそれぞれです。
- 卒業式に出席する
- 式とは別時間・別室で個別に卒業証書を受け取る(個別に卒業証書授与式をしてもらう)
- 自宅に卒業証書を届けてもらう
- 卒業証書も受け取らない
など、選択肢はあります。中学校の卒業証書の有る無しは、人生に大した影響はありません。
最も大事なのは、子どもが納得できる形で卒業を迎えられるかどうかだと思います。
子どもの人生です。本人の気持ちを最優先してどうするか決めたいですよね。
式の間、親はどうする?
私は受付を済ませ、体育館に向かいました。
長女の出席番号から長女の席を予想して、見えやすそうな保護者席に座りました。
近くに顔見知りの保護者さんがいたので、挨拶をしました。お互いの下の子も同級生なので、会うと時々話す仲です。志望校や受験の話題が聞こえてきます。でも、全く気にはなりませんでした。(やっぱりあの子は野球ができる学校に行くんだな)思った以上に、心が落ち着いていました。
式当日、卒業生は全員出席でした。
卒業証書授与式に居ない子がふたりいて、ひとりは相談室で一緒だった子、もうひとりはジャージで登校していた子です。この子も長女と同じように制服が着られない子でした。でも、ふたりとも授与式後の教室には一緒にいました。席に座り先生の話を聞いたり、生徒が編集した動画を見たり、一緒に写真を撮ったりしました。ジャージの子は、お母さんが一緒に教室に居て、みんなの前で「あまり学校に来られなかったけど、みなさんありがとうございました」と堂々と挨拶をし、お母さんへの手紙を読んでいました。
学校に来られない理由は様々だし、卒業式をどうするかもその子次第だな、と改めて感じたし、それぞれが自分で選んでここにいるんだな、と感じました。
長女の卒業を見届けた
卒業証書授与式が始まり、拍手喝采の中、卒業生が入場しました。
長女は来られないかもしれない。そんなことも考えていましたが、長女もいました。ひとりだけ違う制服です。やっぱり「ん?」という表情の保護者さんも1人2人私の視界に入りましたが、みんな拍手で迎えています。長女はしっかりと前を向き、歩いていました。
長女、かっこいい
担任に名前を呼ばれた時もしっかりと体育館全体に聞こえる声で
はい
と返事をし、みんなと同じような綺麗な姿勢と歩みで壇上に上がり、卒業証書を受け取りました。
長女、かっこいい
また、そう思いました。
昨日の全体練習も1日頑張ったもんね。
今日のために。
長女にとって、この場に居ることがどんなに大きなことか、そう考えると本当にかっこいいと、誇らしいと思いました。
前日に「本当はサプライズで親への手紙を生徒に頼んでいるんです」と便箋と封筒を預けていることを知らされていて、でも長女は結局何も書けませんでしたが、それでもいいと、これだけで充分すぎるほど充分だと思いました。
長女が頑張って生きているのも毎日見ているし、家族思いな子なのも知っています。
式が終わってHRで見たクラスメイトは、保育園生・小学生の頃と比べて大きく成長しているのを感じました。でも、温かい和やかな雰囲気でした。級友何人かと写真を一緒に撮り、学校に来られない時もずっと気にかけて手紙をくれた友達にお礼を言うことができてほっとしました。
きっと、長女は長女で自分で中学校生活に区切りをつけるために卒業式に参加することを選んだんだと思う。
自分のために。
だけど、出てくれてありがとう
「この支配からの、卒業〜♪」って何となく歌ってたら
「何その俺の心境にぴったりな曲」
って長女が乗っかってきた😂— あーさん@保育士1年生のシンママ (@ArigatoMama2018) February 22, 2023
その後、長女の同級生の保護者さんと久しぶりに話した。
「長女ちゃん卒業式来れたね」
「すごい勇気だと思う」
と喜んでくれて、改めて涙。嬉しかった。そうだよ、めちゃくちゃ頑張った。長女はすごい。— あーさん@保育士1年生のシンママ (@ArigatoMama2018) March 13, 2023
卒業アルバム・卒業文集は?
卒業式の日にもらった卒業アルバムと卒業文集を見て、また思い返すことがありました。
長女が描いたイラスト、担任がすごく喜んでくれた。「文集の表紙はいつも絵が得意な人に頼んでいるんですが、クラスでも何人かが『やっぱり長女さんだろう』って言っていて…すごくいい絵ですが、描いてくれたことが嬉しいです」
1年半以上学校に行ってないけど、そう言ってくれる子がいる。ありがとう— あーさん@保育士1年生のシンママ (@ArigatoMama2018) February 17, 2023
長女はクラスメイトも認めるくらい絵が上手なので、絵を描く機会を見つけては担任が声をかけてくれていました。体育祭のパネルの原案、文化発表会のモザイクアート、卒業文集の表紙もそのひとつです。
仕上げることができて良かったです。
卒業アルバムの個人写真の撮影の日も「制服じゃなくてジャージや私服でも良いから来れたらぜひ来てね」と声をかけてもらっていました。
当日、私服で行くことができたのですが思った以上に穏やかな笑顔で写っていて「いい顔だな~」と心から思いました。
もちろん、文集やアルバムに参加しない選択もあるし、受け取らない選択もあります。
どちらにしてもその子が選ぶべきだと思います。
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